IL Grande Silenzioはドローイング・アーティストの小川敦生と、こちらも音楽家として活動中の佐藤実によるプロジェクト。一筆書きで丹念に描かれた小川のド ローイング作品はこれまでに国内外で高く評価され、過去に展示、個展も多く開催されてきました。小川は音源制作にも積極的で、生楽器とエレクトロニクス を、時に優雅に、時に厳しく交配させながらドローイング作品さながらの繊細なアルバムを発表してきています。
カルト映画『殺しが静かにやってく る』(ジャン・ルイ・トランティニアン主演)の原題と同じユニット名、同じタイトルを与えたこの作品では、バンジョー(小川)のノスタルジックで線の細い 音色と、微かなノイズを奏でるプログラミング(佐藤)とが、ゆったりとしたタイム感の中で1音1音を互いに響かせ合っています。その様子は、さながら日の 翳りゆく砂漠でポツリポツリと会話する二人の男、といったところ。ライ・クーダーによる『パリ、テキサス』のサントラ以上に苦(にが)い寂寞をこちらにゆ るやかにつきつけてくるようです。素晴らしいの一言。

なお、このアルバムは現在Amazonなどでの取り扱いはまだないようなので、近くにショップがない方は、小川さんご本人に直接尋ねてみることをおすすめします。小川さんはツイッターにもいらっしゃいますよ。